引越しや買い替えなどで冷蔵庫を処分する必要に迫られた際、「冷蔵庫はどう処分すればいい?」「処分費用はいくらかかる?」とお困りの方もいるのではないでしょうか。
冷蔵庫の処分方法は複数あり、スペックや状態によっては無料で手放せる可能性もあります。ただし、どの方法が良いとは一概にはいえません。
この記事では、冷蔵庫の処分方法やかかる費用、処分する前に必要な準備を紹介します。自分の状況に適した処分方法を見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。
<目次>
家電リサイクル法とは、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、冷蔵庫・洗濯乾燥機から、まだ使える部品や材料をリサイクルして廃棄物を減らし、資源の有効活用を推進する法律のことです。
出典:家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)|経済産業省
冷蔵庫は家電リサイクル法で定められている家電の一つのため、粗大ごみとして捨てることはできず、指定された方法で処分しなければなりません。処分する際は、基本的にリサイクル料金と収集運搬料金がかかります。
なお、家電リサイクル法では、該当する家電にかかわる方々の役割も決められています。具体的には、リサイクルが行なわれるよう適切に業者へ引き渡す義務が消費者に、該当する家電の引取義務や引渡義務などが小売業者に定められていることを覚えておくとよいでしょう。
冷蔵庫の処分方法は、大きく分けて5つあります。かかる手間や料金などが異なるため、ご自身の状況に適したものはどれか探してみてください。
冷蔵庫を買い替える場合は、購入店舗(家電量販店など)で古い冷蔵庫を引き取ってもらえます。冷蔵庫の購入と同時に引き取りをお願いすると、手続きの手間を軽減できるだけでなく、キャンペーンなどで処分費用が少しお得になる場合もあるでしょう。
処分までの流れは以下のとおりです。
1. 冷蔵庫の購入時に古い冷蔵庫の引き取りを依頼する
2. 支払い方法などを確認する
3. 新しい冷蔵庫の搬入とともに、古い冷蔵庫を引き取ってもらう
処分費用を支払うタイミングは家電量販店によって異なるため、店員に必ず確認しましょう。
冷蔵庫の処分のみを行ないたい場合は、その冷蔵庫を購入した店舗へ連絡すれば引き取ってもらえます。家電リサイクル法で、店舗側は過去に販売した冷蔵庫の引き取りを求められた際、必ず引き取らなければならないと定められているためです。
ただし処分のみの場合は、購入と同時に引き取りをお願いするよりも費用が高くなるケースが多い点に注意しましょう。
「冷蔵庫を購入した店舗がわからない」「購入店舗がすでに閉店している」「自宅から購入店舗までかなり距離がある」などの場合は、自治体に問い合わせると処分方法を教えてくれます。
冷蔵庫の処分を依頼できる業者を紹介してくれたり、自治体が代わりに回収を受け付けてくれたりと、その対応はさまざまです。収集を依頼できる業者名や連絡先をホームページで公開しているところもあるため、一度お住まいの自治体のホームページを確認してみましょう。
冷蔵庫を消費者自身が指定引取場所へ持ち込んで処分してもらう「料金郵便局振込方式」という方法もあります。自分で冷蔵庫の運搬や運び出しなどを行なう必要はあるものの、収集運搬料金がかからない分、処分費用を抑えられます。
大まかな流れは以下のとおりです。
1. 冷蔵庫のメーカーや製造業者等名コードなどを確認する
2. 郵便局で家電リサイクル券をもらう
3. 個人情報や冷蔵庫に関する情報を記入する
4. 郵便局またはゆうちょ銀行の窓口・ATMでリサイクル料金を支払う
5. 指定引取場所まで冷蔵庫を運ぶ
全国に設置されている指定引取場所は、一般財団法人家電製品協会が公開している「指定引取場所検索」から調べられます。予約は必要ありませんが、臨時休業していたり、営業時間と受付時間が異なっていたりするケースもあるため、事前に問い合わせておくのが安心です。
持ち込み当日は、料金の支払い手続きを行なった際に受け取った明細書や証明書を忘れないよう気を付けましょう。
冷蔵庫以外にも処分したいものがある場合は、不用品回収業者へ依頼するとよいでしょう。さまざまな不用品を一気に引き取ってもらえるため、引越しや大掃除の際にも役立ちます。
都合の良い日時に合わせて引き取りをお願いできるのもメリットです。ただし、かかる費用は不用品回収業者によって異なるため、先に見積もりを依頼することをおすすめします。
不用品業者への依頼は「ほかの不用品も一気に処分できる」「指定した日時で依頼できる」などのメリットがありますが、なかには悪質な業者も存在するため十分注意しましょう。
本来、家庭の廃棄物を回収するには一般廃棄物処理業の許可が必要です。しかし、悪質な不用品回収業者はその許可を取らずに違法で営業しています。実際に、回収したものを不法投棄したり、不適正な処理を行なっていたりする事例も複数報告されています。
「無料と聞いていたのに、不用品回収後に高額な料金を請求された」という事例もあるため、依頼する際は業者のホームページや口コミなどをよく調べておくことが大切です。
上記で紹介した方法のほかに、冷蔵庫を無料で処分する方法もあります。それぞれメリット・デメリットはあるものの、処分費用を抑えたい方はここで紹介する処分方法を検討してみましょう。
家電を取り扱っているリサイクルショップであれば、冷蔵庫を買い取ってもらえる可能性があります。処分費用が無料になるだけでなく、お金を受け取れるのがうれしいポイントです。出張サービスを依頼できる場合は、自宅から運び出す必要もありません。
リサイクルショップで高く買い取ってもらいやすい冷蔵庫の特徴は、以下のとおりです。
● 製造年から5~10年以内である(製造から3年以内だとより高値になりやすい)
● 大手メーカーの冷蔵庫である
● 付属品がそろっている
● 見た目がきれいで傷もない
ただし、製造から10年を超えているものや状態が悪いものは、買取不可になる可能性が高くなります。
フリマアプリやインターネットオークションを活用する方法もあります。
比較的新しい機種や高スペックのモデルであれば、高値で売れる可能性が高いでしょう。「十分使えるが新しい機種ではない」という場合も、値段を高く設定しなければ買い手が見つかる希望はあります。
スマートフォンから簡単に出品できるのもメリットです。
デメリットとしては、「出品や配送に手間がかかる」「いつ買い手が見つかるかわからない」などが挙げられます。
トラブルを避けるためには、出品時は現状を把握できる写真を複数撮ったり、冷蔵庫に関する説明文を正確に記載したりする必要があります。また、買い手が見つかった際も、梱包・配送の手続きは自分で行なわなければなりません。
そのため、なるべく手間をかけたくない、もしくは早めに冷蔵庫を処分したい方は、別の方法をおすすめします。
「まだ使えるが、なかなか買い手が見つからない」「無料でいいからもらってほしい」という場合は、掲示板サイトを利用するのもよいでしょう。無料であれば、多少古くても引き取り手が見つかる可能性があります。
冷蔵庫はサイズが大きい分、運び出しや運搬に手間がかかるものです。そのため、これらの作業の手伝いを譲渡の条件にしておくと、自身の負担を軽減できます。
冷蔵庫の処分にかかる費用は、リサイクル料金と収集運搬料金です。リサイクル料金はサイズやメーカーごとに、収集運搬料金は小売業者ごとに異なります。
AQUAやパナソニック、日立、シャープのような主要メーカーのリサイクル料金は、170L以下の冷蔵庫で3,400円 (税込 3,740円)、171L以上の冷蔵庫で4,300円 (税込 4,730円)のものがほとんどです(2024年9月時点)。
その他のメーカーのリサイクル料金は、170L以下・171L以上どちらの冷蔵庫も、上記より大体1,000~1,500円ほど高くなる傾向にあります。
収集運搬料金は2,000~3,000円程度が相場とされていますが、小売業者によっては相場から外れる場合もあるため、必ず各ホームページをチェックしましょう。
冷蔵庫を処分する際は、事前準備が必要です。作業をスムーズに進めるためにも、以下の4つを覚えておきましょう。
冷蔵庫を処分するときは庫内を空にしてください。なにか異物が残っていると、リサイクルの妨げになるだけでなく、処分を受け付けてもらえない可能性があります。製氷機の氷や給水タンクの水も、忘れないよう捨てておきましょう。
霜取りや水抜きも、冷蔵庫を処分する際に必要な作業です。これらをしないまま本体を動かすと、運搬中に水がこぼれたり、故障につながったりするおそれがあります。手順は以下のようにとても簡単です。
1. 冷蔵庫を運び出す1日前(24時間前)に電源コードを抜いて霜を溶かす(製氷機が付いている場合は、2~3日前に機能を停止しておく)
2. 霜が溶けてトレイなどに溜まった水を捨てる
詳しい手順は製品によっても異なるため、販売・譲渡するときは取扱説明書を確認したうえで作業を進めるのが無難です。
冷蔵庫の扉や引き出しは、動かないようテープで固定しましょう。固定していないと、運び出す際に開いてしまい、部屋の壁を傷付けてしまう可能性があります。
電源ケーブルも一緒にテープで固定しておけば、運び出す際に邪魔になりません。
冷蔵庫を販売・譲渡する場合は掃除も大切です。買い取りであれば、見た目のきれいさが査定額にも影響します。
普段目に付きにくい冷蔵庫の天面や裏側も、忘れずきれいにしておきましょう。
冷蔵庫は家電リサイクル法で定められている家電のため、粗大ごみとして処分できません。家電量販店や収集業者、指定引取場所などで適切に処分してもらいましょう。
多くのケースではリサイクル料金と収集運搬料金が必要ですが、少しでも安く処分したい方は、買取先や譲渡先を探すのも一つの方法です。
なお、処分する際は事前準備をしっかりしましょう。庫内の整理や霜取り、水抜き、扉の固定といった準備をすることで、スムーズな運搬が可能になります。これらの手間をかけることで、より安全に、そしてトラブルなく冷蔵庫の処分を行うことができます。
特に、譲渡や買取を希望する場合は、見た目の清掃や内部の点検も忘れずに行いましょう。準備を万全に整えたうえで、適切な方法で冷蔵庫を処分してください。