「電気代が高いので節電したい」「冷蔵庫の電気代がどのくらいかかっているのか知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。一般家庭において、冷蔵庫はエアコンに次いで消費電力が多い家電です。そのため、冷蔵庫の電気代を抑えられれば大きく節約できるでしょう。
本記事では、冷蔵庫の電気代がどのくらいかかるのかを、サイズ別・年代別に比較しています。また、冷蔵庫の節電ポイントや買い替える際の目安なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
<目次>
冷蔵庫は、気化熱を利用して庫内を冷却する仕組みになっています。気化熱の身近な例を挙げると、注射を打つ前にアルコール綿で皮膚を消毒しますが、そのときに肌がひんやりするのはアルコールが気化して熱を奪ったからです。この性質を応用したのが冷蔵庫です。
冷蔵庫の中にある冷媒が、冷却器で液体から気体に気化する際に、周りの熱を奪うことで冷気が生まれます。気化した冷媒はコンプレッサーに送られて圧縮されることで再び液体になり、その際に熱が放出されます。この繰り返しで冷蔵庫内の熱を外に放出して、冷蔵庫の中を冷やす仕組みです。
冷蔵庫は家庭での消費電力が大きな家電です。電気代を節約するには、冷蔵庫の節電が欠かせません。では、冷蔵庫には実際にどの程度の電気代がかかるのでしょうか。以下で解説します。
電気代の計算式は「消費電力量(kWh)×1kWh当たりの電気料金単価」です。冷蔵庫の消費電力量はカタログなどで調べられます。
1kWh当たりの電気料金単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会で発表されている目安単価が一般的に使われています。2024年10月時点の目安単価は31円です。
それではサイズ別の年間消費電力と電気代の平均値を比較してみましょう。
冷蔵庫のサイズ | 年間消費電力量(平均値) | 年間の電気代(平均値) |
---|---|---|
~140L | 277kWh | 7,468円 |
141~200L | 298kWh | 8,037円 |
201~250L | 309kWh | 8,347円 |
251~300L | 311kWh | 8,404円 |
301~350L | 340kWh | 9,171円 |
351~400L | 350kWh | 9,453円 |
401~450L | 292kWh | 7,884円 |
451~500L | 271kWh | 7,311円 |
501L~ | 279kWh | 7,540円 |
出典:2024年11月1日 省エネ性能カタログ電子版
上表から、400Lまでは容量が大きくなるほど電気代も上がりますが、それ以上になると逆に電気代が安くなることがわかります。これは、容量の大きな冷蔵庫になるほど、インバーター制御や高性能な断熱材など、高度な省エネ技術が用いられているからです。インバーター制御や断熱材についてはのちほど詳しく解説します。
次に、古い冷蔵庫と新しい冷蔵庫ではどのくらい電気代が異なるのか比較してみます。今回は、2024年の冷蔵庫と2014年の冷蔵庫の平均値をそれぞれ比較します。
冷蔵庫のサイズ | 2024年の冷蔵庫 | 2014年の冷蔵庫 | ||
---|---|---|---|---|
年間消費電力量 (平均値) |
年間の電気代 (平均値) |
年間消費電力量 (平均値) |
年間の電気代 (平均値) |
|
~140L | 277kWh | 7,468円 | 315kWh | 8,497円 |
141~200L | 298kWh | 8,037円 | 312kWh | 8,432円 |
201~250L | 309kWh | 8,347円 | 357kWh | 9,635円 |
251~300L | 311kWh | 8,404円 | 376kWh | 10,149円 |
301~350L | 340kWh | 9,171円 | 359kWh | 9,697円 |
351~400L | 350kWh | 9,453円 | 334kWh | 9,028円 |
401~450L | 292kWh | 7,884円 | 258kWh | 6,963円 |
451~500L | 271kWh | 7,311円 | 228kWh | 6,151円 |
501L~ | 279kWh | 7,540円 | 244kWh | 6,596円 |
出典:2024年11月1日 省エネ性能カタログ電子版
省エネ性能カタログ2014年冬版
350Lまでの冷蔵庫であれば、2014年のものよりも2024年のほうが年間の電気代が安くなりますが、350Lを超えるサイズになると、2024年のほうが高くなるようです。ただし、今回調べた資料では2014年の段階ではサンプル数が少ないため、このような結果になった可能性があります。
冷蔵庫の電気代がどのくらいかかるのかわかったところで、電気代を節約する方法を解説します。
冷蔵庫の温度設定を「強」から「中」や「弱」に変えると、電気代の節約につながります。特に冬は、「弱」で十分なケースが多いでしょう。ただし、夏は「弱」だと食材が傷みやすくなる可能性もあるため注意が必要です。
冷蔵庫の仕組みで説明したように、冷蔵庫は庫内の温度を下げるために熱を外に放出しています。そのため、冷蔵庫の周りに壁や家具などが密着していて放熱しにくい状態だと、余計な電気代がかかってしまうでしょう。また、圧縮機(コンプレッサー)の動作が増えるため、冷蔵庫の寿命も短くなります。
放熱で必要な間隔は機種ごとに決められているため、取扱い説明書に書かれている間隔を取るようにしましょう。
また、ガスコンロから離したり、直射日光が当たらない場所にしたりするなど、熱が発生する場所を避けることも有効です。
食材を詰め込みすぎると、冷蔵庫内の空気循環が悪くなって冷えにくくなり、余分な電力がかかってしまいます。また、詰め込みすぎによってドアが閉まりにくくなり、冷気が逃げやすくなることも考えられます。
食材を詰め込みすぎないためには、保存したままの古い食材を定期的に整理するとよいでしょう。特に、冷気の吹き出し口付近のスペースに余裕を持たせると、冷気が循環しやすくなります。冷蔵庫の容量の7~8割程度を目安にすると、食材同士の間隔を十分に保てます。
また、未開封のびん詰めや調味料のほか、バナナやサツマイモなど一部の野菜や果物は、冷蔵庫に入れる必要がありません。常温保存が可能なものは冷蔵庫に入れないようにしましょう。
ただし、冷凍庫は食材同士で保冷し合う性質があるため、詰め込んだほうが効率は良くなります。
冷蔵庫のドアを開くと冷気が外に逃げるため、再び庫内を冷やす際に電力がかかります。ドアの開閉はできるだけ少なくしましょう。
ドアの開閉を少なくするには冷蔵庫内の整理が有効です。庫内の食材が多すぎると、目的の食材を見つけるのに時間がかかり、扉を開けている時間が長くなります。食材の収納位置をあらかじめ決めておけば、扉を開ける時間が最小限ですみます。
カレーやシチューなどの温かい食品をそのまま冷蔵庫に入れると、庫内の温度が上がってしまい、冷やすのに余分な電気が必要になります。温かい食品は冷蔵庫に入れる前に、粗熱を取ってから入れると節電につながります。冷蔵庫だけでなく冷凍庫に入れる際も、常温まで冷ましてから入れたほうが節電可能です。
冷蔵庫のドアにはパッキンと呼ばれるゴム製の部品がついており、庫内を密閉して冷気を逃がさないようにしています。ドアパッキンが破損すると冷気が逃げるため、電気代が余分にかかります。
ドアパッキンに不具合がないかを点検する簡単な方法は、冷蔵庫の扉に紙を挟んでみることです。挟んだ紙が落ちるようであれば、パッキンに不具合が生じていると考えられます。
今使っている冷蔵庫が古い場合は、買い替えも一つの節電方法です。「古い冷蔵庫と新しい冷蔵庫の電気代比較」でも解説したように、技術の進歩により、新しい冷蔵庫のほうが省エネ機能は高くなっているからです。
また、冷蔵庫が小さいと感じている場合も、大きいサイズの冷蔵庫に買い替えたほうが電気代は安くなるでしょう。冷蔵庫が小さいと感じるということは、冷蔵庫内に食材を入れすぎている可能性が高いからです。
最新冷蔵庫には、どのような省エネ機能が備わっているのでしょうか。おもな省エネ機能を紹介します。
冷蔵庫の冷媒を圧縮するコンプレッサーはモーターで動作しますが、従来の冷蔵庫では、モーターをオンまたはオフにしかできませんでした。つまり、出力100%または0%にしかできず、細かい温度調整をするときでもフルパワーでモーターが動くため、無駄が多かったのです。
しかし、コンプレッサーのモーター動作を制御する部品であるインバーターを搭載したことで、その状況が変わりました。インバーターがモーターを適切なパワーで制御することで、冷やしすぎなどの無駄が防げるようになったのです。具体的には、コンセントから来る交流の電気を周波数の異なる交流に変換し、モーター回転数のきめ細かな調整が可能になっています。
インバーターのおかげで、細かな温度調整のときは回転数を下げ、しっかり冷やさなければならないときは回転数を上げるなど、効率の良い運転ができているのです。
断熱材の種類は、冷蔵庫の性能に大きく影響しています。従来の冷蔵庫では、発泡断熱材と呼ばれるものだけが使われていました。
しかし、最近の冷蔵庫のなかには真空断熱材が使われているものもあります。真空断熱材は、気体を真空に近い状態まで減圧して熱を伝えにくくする、高い断熱性をもつ断熱材です。
また、断熱材が厚みを増すと冷蔵庫の容量が少なくなるため、断熱材を薄くして容量を増やす試みも進められています。
インバーターや真空断熱材以外にも、各メーカーでさまざまな節電機能が開発されています。例えば、扉が開いている時間が長いと、アラームが鳴って閉め忘れを防止する機能や、扉の開閉が長時間行なわれていないことを検知して、消費電力を抑える機能を備えた冷蔵庫があります。冷蔵庫を買い替える際には、どのような省エネ機能が備わっているのかも確認してみてください。
冷蔵庫は家庭での消費電力が大きな家電のため、冷蔵庫の電気代を抑えられれば大きく節約できるでしょう。冷蔵庫を節電する方法として、温度設定を変えたり、効率良く放熱させたりすることなどが挙げられます。
しかし、古い冷蔵庫を使っている場合や、サイズの小さい冷蔵庫を使っている場合は、新しい冷蔵庫への買い替えがおすすめです。AQUAでは、さまざまな冷蔵庫をラインナップしています。スマートな薄型設計やおいしさを追求した「おいシールド冷凍」など、独自の技術が盛り込まれています。以下のサイトからぜひAQUAの冷蔵庫をご覧ください。
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