冷蔵庫は複数のスペースに分かれており、スペースごとに適正温度が異なります。毎日使用している冷蔵庫でも、適正温度については意外と知らない方が多いかもしれません。
冷蔵庫の温度を正しく設定することは、食材を長持ちさせるだけでなく、電気代の節約にもつながります。
この記事では、冷蔵庫の適正温度や温度の確認・調節方法を紹介するとともに、冷蔵庫の適正温度を維持するためのポイントを解説します。冷蔵庫の使い方を見直したい方や、新たに冷蔵庫を購入しようとしている方は、ぜひ参考にしてください。
<目次>
ここでは、冷蔵庫のスペースごとの適正温度について解説します。
冷蔵室の適正温度の目安は、2~5度です。一般的な冷蔵庫では、冷蔵室のスペースが最も広く確保されています。冷蔵室での保管に向いているのは、卵や豆腐、作り置きの料理などです。
ただし、冷蔵室はスペースが広い分、場所によって温度に差があります。そのため、冷気の吹き出し口の近くが特に冷えやすくなっています。一方で、ドアポケットの部分は、冷気の吹き出し口から遠いことや、ドアの開閉の影響を受けやすいことで、冷蔵室でも若干温度が高い傾向です。
ドアポケットには、飲料や調味料など、温度変化の影響を受けにくいものを保管するとよいでしょう。
冷凍室の適正温度の目安は、-20~-18度です。冷蔵庫の機種によっては、「上段冷凍室」と「下段冷凍室」など、冷凍室が複数の部屋に分かれているケースもあります。
冷凍室では、微生物が増殖しにくい温度で冷凍することにより、食材の長期保存が可能です。具体的には、以下のような食材が冷凍室での保管に向いているでしょう。
• 冷凍食品
• アイスクリーム
• ご飯
• パン(ただし、生野菜・生クリーム・カレーなど具の水分が多いものは冷凍には向かない)
• 肉
• 魚 など
食材のなかには、冷凍すると変質するものもあるため注意が必要です。
なお、冷凍室に限っては、スペース内になるべく多くのものを入れたほうが、冷凍効率が高まる特徴があります。
野菜室の適正温度の目安は、3~7度です。
野菜室は、食材に冷気を直接当てずに冷やすことで、みずみずしさを保つためのスペースです。野菜室での保管に向いている食材には、以下のようなものがあります。
• 野菜
• 果物
• お米
• チョコレート
• 水 など
ただし、じゃがいもやさつまいも、玉ねぎ、ごぼうなど、野菜のなかには常温保存が向いているものもあります。また、バナナのように追熟させたい果物やパイナップルのように冷蔵しても日持ちのしない果物は野菜室に入れる必要がありません。野菜や果物は、種類に応じて野菜室をうまく使いましょう。
パーシャル室の適正温度の目安は、-3度です。パーシャルは「パーシャルフリージング(部分的な凍結)」の略称で、食材をわずかに凍らせることで、鮮度を高く保つためのスペースを指します。
冷凍室のように食材が完全に凍るわけではないため、解凍時間を短縮できる点が特徴です。パーシャル室は、以下のような食材の保管に向いています。
• 肉類(ハムやソーセージなどの加工肉を含む)
• 魚介類
• 下ごしらえや調理済みの食材 など
パーシャル室のスペースは限られるため、鮮度が低下しやすいものを優先的に入れるのが有効です。
チルド室の適正温度の目安は、0度です。チルド室は、パーシャル室と冷蔵室の中間と認識しておきましょう。
チルド室でなければ保存できない食材はありませんが、冷蔵室よりも低温で、かつ凍らせずに保存したいときに向いています。具体的には、以下のような食材の保管におすすめです。
• 納豆
• チーズ
• ヨーグルト
• 練り物(かまぼこ、ちくわ) など
また、冷凍室で保管していた肉や魚を、チルド室に入れて解凍するという方法もあります。
冷蔵庫は、一年中同じ温度に設定にしておくよりも、夏と冬で温度を変えることをおすすめします。なぜなら、冷蔵庫内の温度は、周囲の温度(室温)に影響されるためです。温度設定が同じでも、暑い夏はいつもよりも冷えにくく、寒い冬はいつもよりも冷えすぎるケースがあります。
住宅の気密性・断熱性の高さや冷暖房器具の活用によって、基本的に室温が一定に保たれている家庭では、大きな心配はいりません。しかし、一日のうち冷暖房をオフにしている時間が長いケースなどでは、食材を傷めたり変質させたりしないために、温度調整をすることが大切です。
冷蔵庫の適切な温度調節は、無駄な電力消費を抑えられます。そのため、節電にもつながるでしょう。
ここでは、冷蔵庫内の温度の確認方法と調節方法を解説します。
庫内の温度が操作パネルに表示されている冷蔵庫の場合は、操作パネルを見るだけで確認可能です。
一方で、庫内の温度がわからない冷蔵庫の場合は、冷蔵庫用の温度計を設置するとよいでしょう。置くタイプやマグネットタイプ、吸盤タイプなど、さまざまな温度計が市販されています。
比較的新しい冷蔵庫なら、操作パネルで簡単に温度設定を変えられます。以下は、AQUAの冷蔵庫の操作パネル例です。
操作パネルがない場合は、庫内に「強・中・弱」といった段階で温度を調節できるツマミがあるでしょう。
これらの機能を使って、以下のタイミングで温度を調節してみましょう。
• 夏:庫内の温度が高くなっているとき
• 冬:庫内の温度が低くなりすぎているとき
具体的な温度は、冒頭の「冷蔵庫のスペースごとの適正温度」の章を参考にしてください。ツマミによる温度調節では、「中」を基準とすると、一般的には「強」が2~3度ほど低め、「弱」が2~3度ほど高めになります。
冷蔵庫の適正温度を維持し、かつ電気代を節約するためには、いくつか気を付けたいポイントがあります。ここでは、6つの項目に分けて、ポイントを見てみましょう。
冷蔵庫から頻繁に食材を出し入れしていると、ドアを開けるたびに冷気が外に逃げてしまいます。また、冷蔵庫のドアを10秒間開けたままにすると、庫内の温度が1度上昇するともいわれています。
よって、ドアを何度も開け閉めすることや、長時間開けっぱなしにすることは望ましくありません。「ドアを閉めたつもりがきちんと閉まっていなかった」というケースにも注意が必要です。
食材の出し入れは、なるべくまとめて短時間で行ない、その都度ドアは丁寧に閉めることを心がけましょう。
麦茶やカレー、ご飯など、加熱したものをそのまま冷蔵庫に入れないようにしましょう。熱いものを入れると庫内の温度が上がるうえ、温度を下げるために余計に電力を消費してしまいます。
また、庫内の温度が一時的に上昇すると、ほかの食材に悪影響が出る可能性もあります。熱いものは、室温程度まで冷ますことが大切です。
自然に冷めるのを待つ時間がない場合は、保冷剤を活用して素早く粗熱を取るとよいでしょう。
冷凍室では、スペース内に食材を詰め込んだほうが、冷凍効率が高まります。あまり食材が入っていない場合は、保冷剤で収納率を上げるのがおすすめです。
一方の冷蔵室では、食材を詰め込むと庫内の冷気が循環しにくくなります。その結果、冷却効率が落ちてしまいます。そのため、冷蔵室の収納率は容量の5~7割程度を目安とし、食材同士すき間を作って保管しましょう。
資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」によれば、冷蔵庫にものを詰め込んだ場合に比べて、半分の量にすると年間で約1,360円の節電になるとされています。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁|省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」
「購入したものはとりあえず冷蔵庫に保管する」ことが習慣になっている場合、冷蔵庫内に不要なものが眠っているかもしれません。また、常温保存が可能なものまで庫内で保管しているケースもあります。
必要なものや冷蔵保存すべきものを見極め、定期的に庫内を整理整頓しましょう。そうすることで、適切な収納率を保ちやすくなります。整理整頓されていれば、どこに何があるかがすぐにわかります。ドアを開ける回数・時間を減らすことにもつながって一石二鳥です。
さらに、食材の使い忘れや「あるのに買ってしまう」ことがなくなります。フードロスの削減も可能です。
冷気の吹き出し口の近くが冷えるからといって、吹き出し口を塞ぐように食材を置いてしまうと、冷気が庫内に行き渡りにくくなります。食材によっては、吹き出し口のそばに置くことで凍ってしまい、変質・破裂するといったトラブルを招くおそれもあります。
取扱説明書や公式サイトをもとに、あらかじめ冷蔵庫の冷気の吹き出し口の場所を確認しておきましょう。
冷蔵庫の周囲に十分な放熱スペースがないと、熱をうまく放出できず、庫内が冷えにくくなったり、消費電力が増えたりします。冷蔵庫は、天井と壁から適度な距離を放して設置するのが理想です。
ただし、冷蔵庫によって放熱スペースの位置が異なります。そのため、この点も取扱説明書や公式サイトでチェックしましょう。
併せて、冷蔵庫の背面などにある放熱部にホコリがたまらないよう、こまめに掃除することもポイントです。
冷蔵庫のスペースごとの適正温度は、以下の表のとおりです。
冷蔵庫のスペース | 適正温度(目安) |
---|---|
冷蔵室 | 2~5度 |
冷凍室 | -20~-18度 |
野菜室 | 3~7度 |
パーシャル室 | -3度 |
チルド室 | 0度 |
上記の内容と季節の影響を考慮して温度設定を見直し、それぞれの温度に合う場所に食材を保管しましょう。
また、冷蔵庫の適正温度を維持するためには、日頃の使い方なども重要です。開け閉めの回数を減らす、熱いものは冷ましてから入れるなど、できることから始めてみてください。
なお、新たに冷蔵庫の購入を検討しているなら、豊富なラインナップを取り揃えたAQUAの冷蔵庫がおすすめです。詳しくは、以下のページをご覧ください。