一般的な家庭用洗剤に比べ、重曹は人や環境に優しい自然派洗剤です。身近で購入しやすく、幅広い場所の掃除に活用できることから、洗濯機の掃除に重曹を活用したいと考える方もいるのではないでしょうか。
洗濯機掃除に重曹を使用する場合、デメリットや注意点を押さえ、トラブルを起こさないようにすることが大切です。
ここでは、洗濯機掃除に重曹を使うメリットやデメリット、重曹を使った洗濯機掃除の方法を解説します。洗濯機掃除におすすめの洗剤についてもふれているため、これから洗濯機を掃除する方はぜひ参考にしてください。
<目次>
洗濯機を重曹で掃除すると、以下のようなメリットがあります。
● 人や環境に害がない
● 消臭効果がある
● 金属イオンの働きを抑えられる
重曹は食品や入浴剤にも使用されるほど、肌などの人体に害のない自然派洗剤で、炭酸水素ナトリウムや重炭酸ソーダとも呼ばれています。
排水しても環境に負担をかけず、衣類へ付着した場合もダメージを気にする必要はありません。
一方で、洗濯槽クリーナーのような市販の洗剤は、汚れが落ちやすいように開発された合成洗剤です。洗浄力が強い半面、人体や環境へ負担がかかるものも多く、使用方法によっては肌荒れやアレルギーの原因となったり、排水することで環境汚染につながったりします。
洗濯槽のいやな臭いは皮脂や汗、カビなどが入り混じった酸性汚れによるものです。
重曹は水に溶かすとアルカリ性になる性質を持つため、臭いのもととなる酸性汚れが中和されることで、消臭効果が期待できます。
家庭でよくある酸性汚れには、以下のようなものがあります。
● カビ
● 皮脂汚れ
● 汗・手垢
● メイク汚れ
● 油汚れ
● 食べこぼし
● 付着した血液
● 生ゴミの臭い など
重曹は水中の金属イオンの働きを抑えるため、洗剤の泡立ちが良くなったり、洗剤の洗浄力を高めたりする効果が期待できます。
金属イオンとは、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの金属の原子や粒子のことです。
金属イオンは基本的にプラスの電気を帯びており、マイナスの電気を帯びた洗剤成分と結合すると、洗浄力が落ちる原因となります。
例えば、プラスの電気を帯びたカルシウムイオンが、マイナスの電気を帯びた石けんのアニオン界面活性剤と結合すると、複合体となって界面活性剤の洗浄性能が無力化されてしまうのです。
重曹を使った洗濯機掃除には、以下のようなデメリットもあります。
● 水に溶けにくい
● 洗浄力が弱い
● ドラム式洗濯機には使えない
重曹は水に溶けにくい性質があり、洗濯槽内で溶かすのに時間がかかります。洗濯機掃除を短時間で済ませたい場合、重曹を溶かす作業を負担に感じる方もいるかもしれません。
また、重曹が溶けきらず洗濯槽に残ってしまった場合、排水時の詰まりの原因となります。
特に、千葉県や埼玉県、沖縄県など、水道水にミネラルが多く含まれる硬水地域では、溶け残った重曹が固形化するケースもあります。
重曹は人や環境に優しい反面、市販の洗剤に比べると洗浄力が弱く、1回の掃除では汚れを落としきれない可能性があります。
市販の洗濯槽クリーナーのように、カビを分解したり除去したりする効果はないため、長期間掃除をしていない洗濯機の掃除では、重曹は不向きです。
重曹を使った洗濯機掃除で酸性汚れをしっかり中和させるには、長くつけおきする必要があり、市販の洗剤よりも掃除に時間がかかる点もデメリットといえます。
重曹は水に溶けにくく粒子が細かいことから、ドラム式洗濯機の掃除に使用するとセンサーの故障や、排水ホースの詰まりによる水漏れが起こる可能性があります。
また、ドラム式洗濯機は洗濯槽全体を重曹水でつけおきしにくい構造です。水をためた状態では蓋を開けられないため、浮いてきた汚れをすくい取れないといった難点もあります。
重曹を使って掃除ができる洗濯機は、基本的に縦型洗濯機です。ここでは重曹を使った洗濯機掃除の正しい手順を紹介します。
1.糸くずネットを外してお湯をためる
2.重曹を入れ、洗濯機を標準洗いコースで運転する
3.5~6時間ほど放置する
4.浮いてきた汚れをすくい取る
5.再度洗濯機を回し、汚れをすくい取ってから排水する
6.すすぎと排水を2~3回繰り返す
7.洗濯槽を乾かす
糸くずネットをつけたまま洗うと、糸くずネットから浮き出た汚れが洗濯槽こびりついてしまうため、糸くずネットを外してから洗濯槽にお湯をためましょう。
洗濯機の掃除に使用するお湯は50度ほどを目安にし、水位は満水にします。洗濯機によっては、お湯の使用が推奨されていない製品もあるため、掃除の前に取扱説明書を確認しましょう。
お湯に対応していない洗濯機の場合は、糸くずネットを外したあとに満水まで水をためましょう。
一度の洗濯機掃除で使用する重曹の量は、200gが目安です。汚れが目立つ場合や前回の掃除から期間が空いてしまった場合は、重曹をやや多めに入れることをおすすめします。
重曹を入れたら、あとでつけおきを行うため標準の洗いコースのみで運転し、すすぎや脱水は行わないようにしましょう。
洗いコースが複数ある洗濯機の場合、より丁寧に洗えるコースを選んで問題ありません。最低でも5分以上、洗いコースで運転させましょう。
洗いコースが終わったらすすぎや脱水を行わず、そのまま5~6時間ほど放置して洗濯槽を重曹水でつけおきましょう。
時間があるときは10時間ほど放置すると、汚れが落ちやすくなります。
しばらく放置すると洗濯槽の汚れが剥がれて浮いてくるため、ゴミすくいネットなどできれいに取り除きましょう。
汚れが残ったまま排水すると、排水口や排水ホースが詰まる原因になるため注意が必要です。
見える汚れをすべて取り除いたら、再度洗いコースで洗濯機を回しましょう。前のステップで剥がれなかった汚れがある場合、洗濯機を回すことで再び汚れが剥がれて浮いてきます。
汚れが浮いてきたら、前のステップと同様に取り除きましょう。根気良く汚れを取り除いたら洗濯槽内の水を排水します。
新しいお湯もしくは水を満水までためて、すすぎを数回繰り返しましょう。
すすぎの際に汚れが出てきた場合は、排水前に運転を一時停止し、汚れをしっかり取り除きます。
通常、2~3回すすぎを繰り返すと汚れは見られなくなりますが、汚れが残っている場合は、汚れが出なくなるまですすぎを行うとよいでしょう。
最後に脱水をかけて洗濯槽を乾かします。脱水後に蓋を閉めると、洗濯槽内に水分や湿気がこもってカビが発生しやすくなるため、脱水後は必ず蓋を開けておきましょう。
乾燥機能がある洗濯機の場合は、乾燥運転を行ってから蓋を開けておくことで、洗濯槽を素早く乾かせます。
洗濯機が汚れるおもな原因は、洗濯槽の裏で繁殖したカビです。
洗濯物に付いた皮脂汚れや食べかす、溶け残った洗剤などは洗濯槽の裏にこびりつき、それらを栄養としてカビが繁殖します。
洗濯槽の裏は、洗濯槽の内側よりも凸凹した形状をしていることが多く、普段の洗濯や脱水ではこびり付いた汚れをきれいに落とすことはできません。
そのうえ、湿度や温度が高くなりやすくカビが繁殖しやすい環境のため、掃除を怠るとあっという間にカビが繁殖してしまいます。
長年掃除をしていない洗濯機は、一度の掃除では落としきれないほどカビが繁殖している場合もあり、長時間にわたる掃除や、業者によるクリーニングが必要になるケースもあるでしょう。
洗濯槽でカビを繁殖させないためには、1ヵ月に1回は洗濯槽洗浄を行い、普段の洗濯後は蓋を開けて洗濯槽をしっかり乾かしましょう。
洗濯機の掃除では、基本的に専用洗剤の使用が推奨されています。重曹は洗浄力が弱くカビが残る原因となるため、洗濯機の汚れを落とすことを重視するなら、専用洗剤の使用を検討しましょう。
洗濯機の掃除では、汚れに応じて「塩素系洗剤」または「酸素系洗剤」を使い分けることをおすすめします。
カビや細菌をしっかり除去したい場合は、塩素系洗剤がおすすめです。
塩素系洗剤とは、高い洗浄力と殺菌力を持つアルカリ性の洗剤のことで、主成分は次亜塩素酸ナトリウムです。
塩素系洗剤で洗濯機を掃除すると、洗濯機の槽洗浄コースまたは通常のコースで運転するだけで、洗濯槽の汚れをしっかり落とせます。
ただし、すすぎ残しがあると衣類を傷めたり、ほかの洗剤と混ざると有毒ガスを発生させたりすることがあるため、正しい方法で使用することが大切です。
服へのダメージを抑えつつ洗濯槽の汚れをしっかり落としたい場合は、酸素系洗剤がおすすめです。
酸素系洗剤とは、酸素の力でカビや細菌などの汚れを落とす洗剤のことで、粉末と液体で主成分や洗浄力に違いがあります。
粉末タイプ:
主成分はアルカリ性の過酸化ナトリウムです。高い洗浄力を期待できますが、ウールやシルクなどデリケートな衣類にはやや不向きな特徴があります。
液体タイプ:
主成分は酸性の過酸化水素です。洗浄力は粉末タイプよりやや劣るものの、デリケートな衣類にも使用できる特徴があります。
酸素系洗剤の洗浄力は塩素系洗剤には劣りますが、粉末タイプなら洗濯槽のカビをしっかり落とせます。
万が一すすぎ残しがあっても、塩素系洗剤に比べると衣類を傷めにくく、有毒ガスが発生する心配もありません。
ただし、酸素系洗剤で洗濯機を掃除する場合は、重曹による掃除と同様に途中で汚れをすくい取る必要があります。塩素系洗剤に比べると手間がかかりやすく、ドラム式洗濯機では使用できない点に注意が必要です。
重曹以外に、家庭で常備しているクエン酸や、台所用の塩素系漂白剤を洗濯機掃除で使用したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
クエン酸は酸性の性質を持つため、同じく酸性の性質を持つ洗濯槽のカビ汚れには不向きですが、洗濯槽以外の部分(蓋や操作パネルなど)に、アルカリ性の汚れである水垢や石けんカスが付着している場合は、クエン酸で落とすことができます。
ただし、洗濯機のメーカーによってはクエン酸の使用が推奨されていない場合があるため、事前に製品の取扱説明書を確認しましょう。
台所用の塩素系漂白剤においても、取扱説明書で使用可否を確認してから使用することをおすすめします。台所用の塩素系漂白剤でカビや臭い汚れを落とすことは可能ですが、洗濯槽用ではないため、洗濯機のメーカーによっては使用が推奨されていません。
万が一、推奨されていない洗剤の使用によって洗濯機が故障した場合、保証対象にならないため注意しましょう。
こうしたリスクを避けるためにも、洗濯機メーカーが推奨する洗濯槽専用洗剤の使用が理想的です。
重曹は人や環境に優しい洗剤ですが、洗濯機メーカーが推奨するものではありません。洗濯機の汚れをしっかり落としたい場合は、塩素系洗剤または酸素系洗剤を使用するか、洗濯機メーカー推奨の専用洗剤を使用することをおすすめします。
洗濯機は目に見えない部分でカビが繁殖しやすい構造のため、定期的に洗濯槽を掃除し、気持ち良く洗濯できるような清潔さを保ちましょう。
「この機会に洗濯機を買い替えたい」「日々の正しいお手入れ方法を知りたい」という方は、以下のページをご覧ください。洗濯機選びのポイントや長持ちさせるコツを紹介しています。
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