「洗濯機の警告音が鳴り、見に行くと脱水されずに洗濯機が止まっていた……」
洗濯機を使っていると、ある日突然上記のようなトラブルが発生することがあります。全自動洗濯機で脱水ができなくなる原因は、いくつか考えられます。
「故障かも?」と思って修理依頼や買い替えをする前に、まずは適切な方法でトラブルの原因を取り除けないか試してみましょう。
ここでは、洗濯機で脱水ができないときの原因と対処方法を解説します。脱水以外のよくあるトラブルにも触れているため、洗濯機のトラブルで困っている方はぜひ参考にしてください。
<目次>
洗濯機で脱水ができなくなった場合、以下のような原因が考えられます。
● 洗濯物の重心が片寄っている
● 洗濯物の量が多い
● 排水口・排水ホースが詰まっている
● 糸くずフィルターの汚れ・詰まり
洗濯機の脱水運転では、洗濯槽を高速で回転させて洗濯物に遠心力をかけ、洗濯物の水分を飛ばしています。
多くの洗濯機には、異常な振動を検知すると運転を一時停止させる機能が付いているため、脱水中に洗濯槽の中で洗濯物が片寄ると、回転が不安定になりエラーが起こる可能性があります。エラーが出ていない場合でも、洗濯物の重心が片寄った状態で脱水を行うと洗濯機が大きく揺れたり、転倒したりする危険もあるため注意が必要です。
また、洗濯機本体に傾きがあっても、重心がずれてうまく脱水ができません。洗濯機が傾いているかどうかは、洗濯機の水準器を使って以下のように確認できます。
<洗濯機の傾きの確認方法>
洗濯機が傾いている場合:水準器の気泡が枠の中央から外れている
洗濯機に傾きがない場合:水準器の気泡が枠の中央に収まっている
洗濯物の量が多いと、縦型洗濯機の場合、重みでパルセーター(洗濯槽底部の回転翼)が正常に動かず、脱水ができなくなる場合があります。パルセーター自体は動作したとしても、洗濯物の量が多く重心が片寄ってしまうと、脱水がうまくいかなくなるケースも見られます。
ドラム式洗濯機は、逆にバスタオル1枚だけなど少ない量だと、偏心して脱水が上手く立ち上がらなかったり、振動の原因になります。
洗濯物を一度にまとめて洗う習慣がある場合は、使用している洗濯機の容量を確認し、洗濯機に対して洗濯物が多くなっていないか少なくなっていないか確認するとよいでしょう。
例えば、容量7kgの洗濯機では、家族4人分の洗濯物をまとめて洗うと、洗濯機に対して洗濯物が多くなってしまう可能性があります。
<1人分の洗濯物の重量(例)>
洗濯物 | 重量 |
---|---|
ワイシャツ | 約200g |
長袖アンダーシャツ | 約130g |
下着 | 約80g |
綿パンツ | 約400g |
靴下 | 約50g |
ハンカチ | 約15g |
フェイスタオル | 約100g |
バスタオル | 約300g |
パジャマ上下 | 約500g |
合計 | 約1,775g |
また、洗濯物の量が適量でも、防水性のあるものや水を多く吸収するクッションなどは脱水時に片寄りやすいため注意しましょう。
排水口や排水ホースが詰まっていると洗濯槽に水が残り、脱水時の回転バランスが悪くなる場合があります。この場合もエラーとなって運転が停止します。洗濯槽内で洗濯物や重心が片寄っていないにもかかわらず、脱水が止まったときは、排水口や排水ホースの状態を確認してみましょう。
排水口や排水ホースは、洗濯物に付いた糸くずやほこりが流れる場所のため、気付かないうちに詰まってしまうこともあります。排水ホースにねじれや潰れた箇所がある場合も、排水を妨げて脱水が止まる原因となるため注意してください。
洗濯機に付いている糸くずフィルター(排水フィルター)が詰まっていると、排水の妨げとなることがあります。特にドラム式洗濯機の場合、糸くずフィルターは下部に付いていることが一般的で、排水により影響を与えます。洗濯槽内や排水口・排水ホースに原因が見当たらない場合は、糸くずフィルターが汚れていないか確認しましょう。
また、糸くずフィルターの汚れを放置すると、排水に悪影響をおよぼすだけではなく、カビや雑菌の温床となってしまい、洗濯物がきれいに仕上がらなくなる可能性もあります。
トラブルを未然に防ぐためには、洗濯機のタイプにかかわらず、定期的に糸くずフィルターを掃除してください。
多くの洗濯機には、運転が正常に終了するまで洗濯機の蓋や扉が開かないように自動でロックをかける蓋ロックセンサーが採用されています(ロックのタイミングは製品によって異なります)。
洗濯機の蓋や扉がきちんと閉まっていないと蓋ロックセンサーが正常に反応せず、洗濯機の運転が止まってしまう場合があるため、エラーが出た際は蓋や扉の閉まり具合を確認してみましょう。
蓋や扉をきちんと閉めてもエラーが出る場合は、蓋にロックをかけるパーツの破損や、センサー自体の故障が原因の可能性があります。
洗濯機の脱水ができなくなってしまったときは、以下の方法を試して脱水運転できるようになるか確認しましょう。
● 洗濯機・洗濯槽の片寄りを直す
● 排水口・排水ホースを掃除する
洗濯機が傾いていたり、ぐらついていたりする場合は、水平になるように設置状況を見直しましょう。洗濯槽の中で洗濯物が片寄っている場合は、洗濯物の重さが均等になるように洗濯物をほぐし、再度脱水を行ってください。
洗濯物の量が多く、重さを均等にしても脱水が止まってしまう場合は、一度洗濯物を取り出して数回に分けて脱水するとエラーが起きにくくなります。
排水口や排水ホースに汚れや詰まりがあるときは、以下の手順で掃除します。
<排水口の掃除方法>
1.排水口からホースを外し、バケツに入れる
2.パーツをすべて外したらパイプ用クリーナーを排水口に入れ、時間を置く(放置時間は使用するパイプ用クリーナーに準ずる)
3.外したパーツは浴槽用クリーナーで洗う
4.所定の時間経過後、排水口にコップなどでゆっくりと水を入れ、クリーナーを洗い流す
5.外したパーツ、ホースをもとに戻す
<排水ホースの掃除方法>
1.ホースの排水口側を取り外し、塩素系漂白剤の希釈水(※)を流し入れる
2.ホースの口をラップと輪ゴムでふさぎ、30分ほど放置する
3.ホースをゆすってふり洗いし、汚水を流す
4.ホースを排水口に取り付ける
※塩素系漂白剤と水の割合は1:50を目安にする
洗濯機は使用頻度の多い生活家電のため、丁寧に扱っていてもトラブルが起こることがあります。ここからは、脱水以外でよくある洗濯機のトラブルを紹介します。
洗濯物の量が多すぎたり、洗濯ネットを多く使ったりすると、重心が片寄って洗濯槽のバランスが悪くなり、回転しなくなることがあります。また、排水ができていない場合も洗濯機が動かない、回らないといったトラブルの原因となります。
このような場合は脱水時の対処と同様に、洗濯物が片寄ってないか確認したり、排水口や排水ホースを掃除したりして改善されるか確認しましょう。
上記の方法で改善が見られない場合、稼働ベルトの劣化やパルセーターの変形、回転センサーの故障などが考えられるため、修理や買い替えの必要性が出てきます。
脱水時にすすぎ運転に戻ってしまう場合は、洗濯槽内の衣類が片寄っている可能性があります。洗濯機によっては、自動的に給水・すすぎを行い、衣類の片寄りを整える機能付きのものもあります。
一回の補正運転で片寄りが改善されない場合は、一度運転を停止し、洗濯物をならすとよいでしょう。
また、洗濯槽に水がたまる場合は、正常に排水できていない可能性があります。脱水時の対処法と同様に、排水口や排水ホースの掃除をして改善されるか確認してください。
洗濯機がガタガタと揺れたり、異音がしたりする場合は、洗濯機や洗濯槽の片寄りが考えられます。
洗濯ネットに衣類を詰め込みすぎたり、洗濯ネットをたくさん使ったりすると、洗濯物が塊となって片寄りやすくなるため、できるだけ小分けにしましょう。
また、以下のようなものは振動や異音のほか、故障の原因となるため基本的には洗濯機で洗濯しないように注意してください。
<洗濯機の異音や故障の原因になりやすいもの>
● 座布団
● クッション
● 枕
● 防水性のシート
● 防水性の衣類
● 大型・厚手のマット類
● カーペットカバー など
なお、一時的な振動や異音は問題ないケースがほとんどです。洗濯物なしで通常運転を行って異音がする場合、部品の破損などが考えられるため修理を検討するとよいでしょう。
今回説明したいずれの方法を試してもうまく脱水ができない場合は、洗濯機が故障している可能性があります。
洗濯機は個人での修理が難しいため、故障の可能性があれば、メーカーや洗濯機を購入した家電量販店などへの修理依頼を検討しましょう。新品で購入した洗濯機には保証期間があり、購入から間もなければ無償修理や交換の対象となる場合があります。
ただし、多くの洗濯機は製造から6年~7年ほど経つとメーカー側で部品の取り扱いがなくなってしまい、修理が難しくなります。洗濯機の寿命は8年ほどといわれているため、部品の保管期間や寿命を過ぎている場合は買い替えを検討するのもおすすめです。
洗濯機で脱水ができない場合、洗濯物の片寄りや排水の不具合、蓋や扉がきちんと閉まっていないことなどがおもな原因です。適切に対処しても状況が改善しない場合は、部品の破損やセンサーの異常など、洗濯機自体の故障も考えられます。
洗濯機には部品保管期間や寿命があるため、修理が難しいなど、状況によっては買い替えを検討するとよいでしょう。
「この機会に洗濯機を見直したい」「今の暮らしに合った洗濯機を選びたい」という方は、ぜひ以下のページをご覧ください。洗濯機選びのポイントや長持ちさせるコツを紹介しています。
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