洗濯機は定期的な清掃や手入れが欠かせない生活家電です。長く大切に使うため、こまめな掃除をしている方もいるでしょう。しかし、見落としやすいポイントに「洗濯機の水抜き」があります。
ここでは、洗濯機の水抜きを行うべきシーンや、基本のやり方、水抜きする際の注意点について解説します。誤った方法で作業しないためにも、ぜひ最後まで目を通してください。
<目次>
洗濯機の水抜きとは、洗濯機内やホース内に溜まっている水を抜く作業のことです。
洗濯槽内の水は脱水時に排水されるため、洗濯後に水が残っていると考える方は少ないかもしれません。
しかし、洗濯槽より外側にある給水ホースや排水ホースには水が残ってしまうことがよくあります。
そのため、水抜きをしないまま洗濯機を動かしたり、ホース類の脱着を行ったりすると、水漏れや故障といったトラブルが起こる可能性があります。
洗濯機の水抜きは、おもに「洗濯機を動かすとき」や「水を残しておけないとき」に行います。具体的にどのようなシーンで洗濯機の水抜きが必要になるのか解説します。
引越しで洗濯機を運ぶ際、洗濯機やホースの内部に水が残っていると水漏れが起こりかねません。
洗濯機の水漏れは、床やほかの荷物を濡らしたり、洗濯機の電気部分にふれて洗濯機自体を故障させたりする恐れがあります。
また、残っている水の分だけ洗濯機の重量が増し、運搬時にバランスが取りにくい、運び方に細心の注意を払わなければいけないといった問題も起こるため、引越し業者にかかる負担が大きくなります。
気付かないうちに洗濯機から水漏れし、動線の床が濡れるようなことがあれば、転倒のリスクやそれによる家財の破損など、二次被害のリスクも高まるでしょう。
引越しでの洗濯機の水抜きは、引越し業者に依頼できる場合もありますが、引越し料金とは別にオプション料金が発生する可能性があります。
洗濯機を買い取りに出す際も、自宅からの運び出しや積みこみなどの運搬作業があるため、事前に水抜きを行っておく必要があります。
買い取りに出す洗濯機の水抜きができていないと、水漏れによって故障したり、買取業者が滑って転倒したりする可能性があります。
水抜きを怠って洗濯機が故障した場合は、買取不可になり売却できなくなるおそれもあるでしょう。買い替えで下取りや無料回収の対象となれば処分に困りませんが、個人で処分しなければならない場合、洗濯機の機種に応じた処分費用(家電リサイクル料金)が発生します。
寒い地域で洗濯機を外置きしている場合、気温が0度以下になると洗濯機内に残っている水が凍ってしまう可能性があります。
水は氷に変わると膨張するため、凍結により洗濯機の部品やホースが破損するケースも考えられます。旅行や出張などで洗濯機を使わない(洗濯機やホース内の水が動かない)時間が長くなると凍結しやすくなるため、注意しましょう。
寒い地域で凍結トラブルが多発した場合、修理業者の対応に時間がかかり、洗濯機が使えない期間が長引くこともあります。
水抜きに適したタイミングは、目的によって変わります。
引越しや買い取りのために水抜きする場合、洗濯機内やホース内をしっかり乾かすために、遅くても移動の前日までに実施するとよいでしょう。
洗濯機を使用する予定がなければ、移動の2~3日前に前もって水抜きを行っても問題ありません。
なお、洗濯機の水抜き作業にかかる時間は30~60分ほどで、移動当日の作業も不可能ではありません。しかし、移動当日に水抜きをすると洗濯機やホースに残った水が乾ききらず、移動時に周囲を濡らしてしまう可能性がある点に注意しましょう。
どうしても引越し当日に水抜きを行わなければならない場合、少しでも水分を乾燥させるために、早朝などできるだけ早い時間の実施をおすすめします。
凍結防止のために水抜きする場合は、冷え込むとわかっている日の前日までに実施しましょう。天気予報で予想最低気温が-4度以下になる日や、日中の最高気温が0度以下の日は凍結リスクが高まるため、前日までに水抜きをしておく必要があります。
水抜きを忘れて洗濯機内やホース内の水が凍結してしまった場合は、自然解凍されるのを待つか、ぬるま湯を使って少しずつ解凍することで対処できます。
自分で解凍作業を行う際、凍結しているホースに直接お湯をかけたり、50度以上のお湯を使ったりすると破損の原因となるため注意しましょう。
洗濯機の水抜きは、縦型洗濯機、ドラム型洗濯機のいずれも、必要な道具があれば簡単に実施できます。ここからは、洗濯機の水抜きを行う際の基本的な手順を解説します。
洗濯機の水抜きは、身近な道具を使って作業可能です。まずは、以下の道具を準備しましょう。
蛇口から洗濯機につなげられた給水ホースのネジを外すために使用します。給水ホースの取り付け部分を確認し、ネジサイズに合ったドライバーを準備しましょう。
ホース類を取り外すと中の水が流れ出るため、洗面器やバケツを受け皿にします。排水ホースから流れ出てくる水は皮脂汚れや洗剤カスなどが混ざった不衛生な水のため、汚れてもいいものを用意しましょう。
水抜き作業で濡れた洗濯機やホース、周囲の床などを拭くために使用します。大量の水が溢れた場合にすぐに拭き取れるよう、大きめで汚れてもいいものを2~3枚準備しましょう。
取り外した給水ホースや排水ホースを入れるために使用します。凍結防止の水抜きではホースを持ち運ぶ必要はありませんが、使用して汚れたタオルなどを入れる際に役立ちます。バケツや洗面器がない場合はビニール袋で代用できるでしょう。
洗濯機の水抜きを行う際、周囲に水が漏れ出てしまうケースがあるため、作業前に周囲にあるものを片付けておきましょう。特に引越しでは、洗濯機の周辺にお風呂グッズや洗剤類、タオルなどの荷物が置かれていることも多いです。荷物が濡れて困ることがないように不要なものを移動させ、作業スペースを広くしておきましょう。
まず、給水ホースの水抜きのために、洗濯槽が空になっていることを確認し、蛇口を閉めます。
洗濯機の電源を入れて標準コースで洗濯機を1~2分運転させると、給水ホース内の水が抜け、洗濯槽内に流れてきます。しばらくして水が出てこないことを確認したら、洗濯機の運転を止めて電源を切り、給水ホースを取り外しましょう。
給水ホースを取り外す際は蛇口部分から水が漏れる可能性があるため、受け皿やタオルを活用しましょう。
次に、洗濯槽内の水抜きのために、脱水のみで洗濯機を1~2分ほど運転させます。脱水が終わったあとは、洗濯槽内に残った水気をタオルで拭き取ります。
ドラム式洗濯機の場合は、必ずこのタイミングで糸くずフィルター(排水フィルター)の水抜きも行いましょう。
糸くずフィルターの水抜きは、脱水後、糸くずフィルターを少しずつ緩めて外し、溢れてくる水を受け皿に流します。取り外した糸くずフィルターは洗って水気を拭いておきましょう。
水が出なくなったことを確認したら糸くずフィルターの取り付け場所に残った水分を拭き上げ、糸くずフィルターをもとに戻して洗濯機側の水抜きは完了です。
次に、排水ホース内の水を抜いていきます。洗濯機と排水口の高さに違いがない場合、排水ホースを排水口から外すだけでは水を抜きにくいため、排水ホースが出ている側に洗濯機を軽く傾け、排水ホース内の水を流しやすくしましょう。
排水口から排水ホースを取り外す際は、水が溢れやすいため、注意しましょう。
受け皿を用意して排水口から排水ホースをゆっくりと外し、ホース内に残っている水をすべて流したら洗濯機の水抜きは完了です。
最後に、取り外した部品をなくさないようにホース類は用意しておいたビニール袋にまとめ、ネジなどの細かい部品と一緒にしておきましょう。部品を入れたビニール袋は、テープなどで洗濯機に貼り付けておけば移動時の紛失を防げます。
洗濯機の水抜きは、正しい手順で進めることで個人でも安全に作業できます。しかし、正しいやり方でうまく水が抜けないときは、イレギュラーなケースと判断し、無理に作業しないようにしましょう。
ここからは、洗濯機の水抜きをする際の注意点を解説します。
洗濯機は水濡れに強い家電製品ですが、電源プラグやアース線が水に濡れると、故障する可能性があります。
水抜きの際は、タオルや洗面器などを使ってコンセント周辺や電源プラグが水に濡れないよう、細心の注意を払って作業しましょう。
水抜きが完了しても、洗濯機を動かしたり揺らしたりすると、洗濯機の内部から水の音が聞こえる場合があります。これは、洗濯機の振動を軽減させる「液体バランサー」内に密閉された水が動いている音です。
引越しなどで洗濯機を移動させても、液体バランサー内の水が漏れ出てくることはないため、心配ありません。
液体バランサーは、縦型洗濯機なら本体の上部に、ドラム式洗濯機なら本体の背面に設けられていることが多いです。
排水ホースの水がうまく抜けない場合、排水ホースやドラム式洗濯機の糸くずフィルターにゴミが詰まっている可能性があります。ゴミや汚れでうまく排水ができないときは、ブラシやシャワーの水圧を使って清掃しましょう。
汚れた部分を清掃してもうまく水が抜けない場合、手が届かない部分に汚れが詰まっていたり、洗濯機内部が故障したりしている可能性があります。
個人の作業が難しいと感じたときは無理に作業を行わずに、専門業者に清掃や修理を依頼しましょう。
洗濯機の水抜きは、引越しなどで洗濯機を移動する際の水漏れ防止と、冬場の凍結防止を目的に行います。日常的に水抜きを行う必要はありませんが、いざというときは正しい方法で水を抜いておきましょう。
「引越しを機に洗濯機を買い替えたい」「古くなってきた洗濯機がいつまで使えるか不安……」という方は、以下のページをご覧ください。洗濯機の賢い選び方や長持ちさせるコツを紹介しています。
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